PBX(Private Branch eXchanger)とは「構内電話交換機」のことです。例えば会社を立ち上げるとして、社内の内線電話を準備するにはどうすればよいでしょうか。電話会社に電話機を10台お願いして、それぞれに電話番号を付けてもらう、ということを考えるかもしれません。でも隣の部屋の内線に電話をするにも電話代がかかったら、困ってしまいますね。携帯電話機を大量購入して、社員に配ってしまう、という手もありそうです。ただそうすると、今度は親や恋人との通話まで会社の負担になってしまうかもしれません。会社の中のPBXは、そうした問題を起こさないで社内の円滑なコミュニケーションを促進する社内の小さな電話局です。

PBX – 社内の小さな電話局

この会社の中の“小さな電話局”は、たいていは1台のコンピュータ(サーバ)を置くだけですむので準備は簡単です。内線として使う電話機は、NTTの電話回線のケーブルではなく、インターネットに接続する通常のLANケーブルを直接、電話機本体に接続するものが最近の主流になっています。つまり社内にネットワークさえあれば、そこに内線電話システムをかんたんに構築できる、ということになります。使用するPBXも、IPに接続するので「IP-PBX」とも呼ばれます。

PBXがする仕事

  • 内線と内線の通話
  • 外線から内線への通話
  • 内線から外線への通話
  • 会社の代表番号を社内にまわす
  • 転送
  • データベースとの連携

PBXはこんなこともできる!

現在のPBXの中には、内線電話機の情報、電話機を使用するユーザ名、電話回線の情報などを登録しておくことができます。また、特定の電話番号にお客様が電話をかけたら、どの電話機を鳴らすのか、「電話の道筋のシナリオ」を作成します。(ダイアルプランと呼ばれています。)

最近のPBXはコンピュータと同じでデジタル処理して通話を扱うので、社内に簡易コールセンターを設置することさえ可能です。オペレータに対して、待ち時間が長い順番に順にコールを割り振って、お客様からのお問い合わせに対応することも可能です。それにはPBXのACD(自動コール分配)という機能を使用します。

その他、データベースと連携し、「お客様の電話番号を社内の情報と照合」して、過去の販売・お問い合わせ履歴を即座にコンピュータに呼び出すことも可能です。CRMと呼ばれる顧客管理システムと連携させて、PBXをパワーアップさせることができます。

IP-PBXの通信規格 – SIP(シップ)

ブラウザでインターネットのサイトを見るときには、最初に”http”や”https”という記号を付けます。それは、”http”というプロトコルを使用しているからです。インターネットと同じIP回線を使用するPBXの多くはSIP(Session Initiation Protocol, シップ)と呼ばれる規格で通話を成立させます。

PBXと電話機の双方がSIPに対応しているかどうかをチェックするのは大切です。また古い電話機やメーカーによっては、「標準SIP」ではなく、「方言SIP」を話す電話機もありますので、どのメーカーのものでもIP電話機であればすぐに使える、というわけではありません。音声通話をインターネットやイントラネットのようなIPネットワーク用でやりとりできるようにすることを、VoIP(ボイップ、Voice over Internet Protocol)と呼んだりもしますので、覚えておきましょう。

コールセンターでは毎日たくさんの通話があり、その数だけお客様からのご相談とオペレータの活躍があります。そのコミュニケーションが止まらないよう見届け、安定したコールセンターシステムを運営するお手伝いをするために、わたしたちは日夜、IP-PBXの構築と改善を続けています。

PBXで使われる用語

CID (発番、発信番号)お客様がかけるときに使用した電話機の番号
DID(DNID) (着番、着信番号)お客様がかけた先の番号
コールフロー 電話がかかってきたらそれをどう扱うかという流れを示したもの
ダイアルプラン 電話番号ごとに事前に取り決めた処理
IVR(自動応答装置) 最初にお客様にメッセージを流したり、お客様の押したプッシュホン番号に応じて電話を振り分ける機能